先月3月13日
アレクサンダーテクニークの先生をお迎えし
教室内希望者数名でレッスンをしました。
最近流行っている(?)アレンサンダーテクニーク(この後、ATと略)ですが
「F.M.アレンサンダーさんが使っていたテクニック」
という事のようです。
私風に言うと
「なりたいパフォーマンスを自らできるように、自分を理にかなった方法で誘導するやり方」
かなぁと思うところです。
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演奏というのは芸術の分野に入る部分があります。
音を並べて演奏するだけでも結構楽しいものですが
そこから芸術に持っていく為には、アカデミックに考え、
それを表現できる身体の動かせてこそできる技術が必要です。
音楽するべき技術的ができる・できないレベルで悩み続けているよりも
ATの先生に、今後の演奏に生きる考え方を教えていただくのが良いだろうと判断し、
今回は指導をお願いしたところです。
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・今回は、ATを体験したことのない数人が受講、聴講。
実施前半内容
体のバランス等、基本的な体の可能性の話。
脊椎は24個ある、棒のように真っすぐ体を支えているわけではない。
常に動き、バランスを取りながら体を支えている。
その上に頭が乗っている。
「身体は前に倒すことも横に倒しても良いし、ねじることもできるますね~」
という話等々をしながら、個々人の体の動きを先生がサポートしながら、体感していく。
バランスよく座っている状態は、いわゆる「姿勢が良い」ように見え、
体を支えている自分でもラクな体勢のようです。
体の仕組みをある程度知りながら、「自然でラクな状態」を体感していきます。
体は思ったよりも素早い行動が可能である例
数秒後に落下してくる棒?を、キャッチできるかの体感をしました(いわゆる「定規落とし」)。
キャッチするのに必要な準備(キャッチする手は用意しておく、目は開けておく等)さえしておけば
必要以上に、他の個所に力を入れている意味はないという話になりました。
人間には、複雑でも一瞬で作業できる能力を持っているということですね。
実施後半内容
楽器を使ったATの応用。
質問内容
・弓の動きが安定(弦に対し垂直)が上手くいかない。
・弓の持ち方が安定しない。
・ダイナミックなシフティングで音を外すのではないかという悩み。
・長時間弾いていると、体が痛くなっている事に後から気が付く。痛み無しで弾きたい。
等々。
アプローチ方法
実施前半で行った「バランスのとれたラクな姿勢」を確認。
そこから、自然と楽器と弓を構えられるように何度かトライ。
・弓の動き、持ち方が安定しない事について
弓を動かすための体の個所を確認(鎖骨、上半身の前後が影響している)。
弦に対し、弓が直角ということは・・・、右手でホールドしている弓と手の関係は、動いているはずである。
今回は、弓と弦、ジョイントの部分のみにフォーカスして、トライ。
→今までになく上手くいった。
・ダイナミックなシフティングをしていると音を外すのではないかという不安が常にある。
→シフティングする左手がリードして、体がついていくという意識を持てるようにする。
→「取りたい音が取れるという結果を本気で望んだうえで、繰り返しトライする。」
→ 「人は意識せずとも動きを修正し、より精度を高める能力を持っています。」
(聴講者の自分は、毎日同じシフティングも含めた練習を7年くらいしているからできるようになったのかと、改めて思ってみた)
・ 長時間弾いていると、体が痛くなっている~
→ 構えるときに、必要以上に頑張って楽器を構えていた。
改めてバランスを調整した後、体が痛くなることは無くなったそうです。
(コントラバスは大きいが、自分が思っている以上に大きいと感じ、構えすぎている人がいることを思い出した)
(ヴァイオリンからヴィオラに移ってきた人も、そういう傾向があるというのも以前聞いたと事がある)
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何度も講師の方がおっしゃっていたことの一つに
「感覚に頼ってはいけません」
がありました。
これは、私も何度も実感している事です。
ATテクニックで上手くいった数日後、また上手くいかなくなった時
「何を具体的にどのようにやってアプローチしたから上手くいくようになったのか?」
が思い出せなくなるんです。
具体的に何をした時に上手くいったかを持ち帰ってほしいと
何度もおっしゃっていました。
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**聴講していた私の感想
アレクサンダーテクニークは
「人間にそなわっている可能性を有効利用しましょう」
に近いものと思います。
いわゆる「禁止」とは逆のアプローチなんだと私は思います。
我々が今まで受けてきた教育方法
「~してはいけない」
「~しなくてはいけない」
「よい子、よい大人は、こうしましょう」
ばかりに馴染んでいたので、ATの思考パターンに慣れるのに時間がかかるように思います。
ATは、基本を理解したうえで「自らを生かすテクニック」かと思います。
自ら気付いき、調整していくことができる思考方法であって、
他人から教わった通りにやるのではない事が、特徴の一つかもしれません。
そのためには「ニュートラルが、身体か自由に動かせる事」。
自由に身体が動かせたら、それは可能性は広がりそうで、楽しみですよね。
あ、でも。
機能和声、フレーズ、ルバートなど音楽の専門は、ATの先生の分野ではないので
是非、音楽の勉強は音楽の先生に教わってください。
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今回は、トロンボーンも演奏される佐藤拓先生にお願いしました。
大学時代の友人です。いつもありがとうございます。
元アマチュアトロンボーンプレイヤーだった私から見た彼の管楽器講義は
目から鱗がボロボロ落ちた内容でした。
管楽器の皆さんも、興味があれば是非。
https://www.facebook.com/fmat.taku/
以下、この時のレッスンを受講された方から
感想を頂きました。
ご興味がありましたら、ご一読ください。
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アレクサンダーテクニークのことを知ったのは、はやし先生のレッスンを始めて間がない頃であった。
「腕って、どこからどこまで?」…何、言ってんの?
「頭は何で支えているか知ってる?首と頭はどこでつなっがってる?」…何、言ってんの?それって、音楽に関係あること?
人間として50年以上生きていると殆どのことは、これまで経験した範囲内で解決しようとするが、先生の話しは私の経験外のことだった。
要するに、そんなこと考えたこともなっかた。
私は、早速そのアレクサンダーテクニークとやらを調べた。
YOU-TUBEで講座の動画を見たり、書籍を買って読んだりした。
その本の冒頭には「この本を読んでもアレクサンダーテクニークは理解できない」と書いてあった。…何、それ?
ますます疑問が広がる。
そしたら、はやし先生が「アレクサンダーテクニーク特別講座」を企画するという。参加しない訳にはいかないと思い早速、申し込んだ。
?
講師は佐藤先生だ。トロンボーン奏者だという。なるほどフルート奏者ではないなと思った。…勝手なイメージだが。
佐藤先生の講義は、私の予備知識の範囲内であったが、知ってることとやってみることは違っていた。
実際に佐藤先生は、私の頭や腕を持って体の仕組みや使い方を教えてくれる。
「腕は肩甲骨と鎖骨で体に繋がっていて、お尻から首まで背骨があって頭を支えている。」
それまでの疑問は、何となく解決したような気になった。
講義を受けた直後、私は「こんな感じか…。なるほど、これは楽でいいかもしれない」と思った。
でも先生は、さらに言う。
「感覚は、その時々で変化するものだ。同じ温度でも冬に感じる温度と夏に感じる温度が違うように。人間の感覚は不確かだ。感覚に頼ってはいけない」。
また、私の中に疑問が生じる。…じゃあ、何に頼ればいいんだ?
?
今回の体験は貴重なものであったが、私がアレクサンダーテクニークをよく理解できたとは言えないだろう。
でも、佐藤先生が言う「楽な状態から始める」ということだけは、楽器を持つ前、楽譜を見る前に実践してみようと思った。
まず最初の音くらいは、いい音から始められるように。
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