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持続音の弾き方

2018年になりました。皆様、いかがお過ごしでしたか?


演奏仕事が面白く、更新が滞っておりました。すみません。

また、「一回の投稿内容、ちょっと長いよ。3回更新できるくらいのボリュームだわ」とも言われましたので、もう少し短文章にしていこうと思います。と言いつつ、長くなるのが常なのですが。


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昨年末、高校生と共演する事がありました。その時に高校生が質問してきた事がありましたので、その内容を一つ書いてみたいと思います。


「同じ音が続く時に、書いてあるとおりに数小節音を伸ばしていると、ただ単に伸ばしているだけでなく、なんか変化をつけてくれと言われます。どうすれば良いのですか?」


同じ音が続く・・・オルゲルプンクト(Orgelpunkt)なのかも。


オルゲルプンクト・・・エレクトーンやオルガンなどのペダルで、一つの音のみ踏みっぱなしの事ってありますよね? あの音の事・・・またはそれと同じ事をしている音の事です。つまり、低音でずっと一つの音が鳴り続ける音のことです。一つと言っても白玉音符の時ばかりではなく、リズムが付いている時もあります。



以前、低音セクション以外の方からお話を伺ったのですけど、オルゲルプンクトの「一つの音が鳴り続ける」というのは快感なんだそうです。

例えば、C-dur(C-major ハ長調):コントラバスがC(ド)の音を鳴らしている時に、他セクションが「ドミソ」を中心とした和声が鳴っていると基本の安心感があるそうです。ドファラの音でもドレファの和声の時も安心感があるそうです。

でも、 ファラド、ラドミなどにいってしまうと、「どこへ自分たちはいくのか?どんどん離れていってしまいそう」と感じるらしい。しかし「どんなに離れていても聞こえているオルゲルプンクト音に自分たちが支配されている感」が心地良いのだそうです。

「運命から逃れられない」「全ては御天道様が見ている」「神に牛耳られている」な感じなんでしょうか?

そう考えると、重要な音だという事になりますねぇ。


ですので、単に長く音を弾いているのではなく、和声を感じつつ大きな拍感が周囲が認識できるように弾く、周囲の強弱にも寄り添う。または寄り添いすぎない。だって神なんですから(私は無宗教)。オルゲルプンクトはビブラードかけないと聞きますが、周囲の音楽の流れと響きが膨らんでいる時には、それに寄り添う必要があるので丁度良い響き・・・ビブラートは響かせるために使う奏法・・・が少しあってもいいのではと私は密かに思っています。こういう事はあまり口には出したくない事ですが。


音の質感や和声を意識していけば、自ずと弓の量、弾く場所なども自分で意識して弾けるようになるのではないかと思います。


その辺りは、近くにいる経験者の方に聞いてみてください。


因みに、和声は「和音で表す音楽ストーリー展開」的役割を担っていると思っています、多分。




嗚呼、また長い文章になってしまった。


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そういえば、今シーズンは音楽大学の卒業実技試験(卒試)の時期ですね。無料ですし一般公開の事が多いので行ってみてもいいかもしれませんね。渾身の演奏でくるはずですので見応えもあり、見ているこちらも力を頂戴ける感じさえします。既に試験が終わった大学もありますが、これからの大学もありますので是非気になる方はチェックしてもいいかもしれません。自分のお仕事や学校はサボらないでくださいね。



では。